フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第11話>
<第11話>
きゃはは、と隣のテーブル席で笑っている女子高生たちの声が耳につく。
100%被害妄想だけど、私が笑われているような気がする。思わず睨みつけると、女子高生たちは急におとなしくなり、騒ぎ過ぎたと反省したのか、声をひそめた。
テンションを抑えて、ひそひそ話しても楽しくなかったのか、睨みつける私が怖かったのか、やがてそそくさ店を出て行ってしまう。
太ももの上半分ぐらいしかない短いスカートを翻しながら、外へ飛び出す彼女たちが眩しい。
足が太いからって、あんな短いスカート穿いたことなかったけれど、今から思えば勿体ないことだったのかもしれない。眉をひそめる大人たちの目を気にせず、パンツが見えそうな丈のスカートを翻らせるのは、あの時代の特権だった。
私はブスに生まれたばっかりに、その特権を使えない、いじけてひねくれた女の子だった。
小さい頃から容姿が周りの子に比べて劣っていたのは、よく自覚していた。睫毛の少ない一重で離れ過ぎの目、横から見た時まったく凹凸のないぺったんこの鼻、エラの張った輪郭。
夏休み前の肥満児ばかりを特別教室に集めた生活指導には、かろうじて呼ばれなかったけれど、全体的に太くてぽちゃぽちゃした体型もコンプレックスだ。
小学校でも中学校でも高校でも、同じ教室の中にはいつだって華やかで可愛くて男の子からも女の子からも好かれて、ナントカ先輩と付き合ってるとか、誰々に思われてるとか、そういう噂が絶えないバラの花みたいな女の子がいて、ずっとそういう子たちが羨ましくて、できれば自分もそんなふうになれたらと思ってて、そんな気持ちを誰かに悟られまいと必死だった。
あの子たちがバラならこっちはぺんぺん草。
近づきたいと思うことすら許されないし、羨望の気持ちがうっかり態度にも出ようものなら身の程しらずと即いじめの対象になる。
小中高時代はブスをネタにいじめに遭わないよう、地味で無害な「いい人」を演じるのに一生懸命になっているうちに過ぎていった。
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