フェイク・ラブ 〜Aimi〜<第30話>
<第30話>
合コン後の1カ月でぎこちなくメールをやり取りし、3回会った。
1度目は、2人の大学の中間地点でお茶、2度目は映画と食事、3度目は水族館。
1度目と2度目のデートでは手も繋がず、お互いの高校時代のこととか将来の展望とか大学生活のあれやこれやを話し合っただけ。
そんなデートにしびれを切らした私は3度目の水族館の時、帰りに寄ったカフェで自ら2人の関係に決定打を入れたんだ。
「聡くんはいったい、私なんかのどこがいいの」
その時は聡じゃなくて、まだ聡くんって呼んでたんだっけ。
カプチーノの泡で口の周りに白ひげを生やした聡は心底意外な顔をした。
「なんか、ってなんで、自分のことそんなふうに言うの?」
「だって、そうじゃない。聡くんは、おしゃれで格好良くて女の子にもモテて、きっとバラの花ともいっぱい付き合ってきたんだろうけど、私なんてぺんぺん草だから……」
「何? バラの花にぺんぺん草って?」
つい言ってしまった自分の言葉に赤くなって俯いて、聡は笑いながらカップに口をつけ、白ひげのボリュームを増やした。
でも、それが本当に本当の気持ちだった。
最初に合コンで会った時から思ってたけど、聡は誰もが振り返るイケメンとはいかないまでも、十分格好いい部類に入る。
事実、前の2回のデートで中学時代に2人、高校時代に3人、大学に入ってからは1人の女の子と付き合った話も聞いていた。それに、聡の話から察するに、その6人の女の子たちは、私が思春期に憧れていたバラの花タイプの子だ。
そんな聡が私に熱心にアプローチするなんて絶対に変で、からかわれてるんじゃないかとうがった考えが顔を出してしまう。
どうしても、聡が私のどこを気に入ったのかわからない。
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