フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第19話>
<19回目>
面白がってみんなが集まってあれこれ聞いてきて、英雄扱いされたのはほんの一瞬。
「そんなことあるわけないって、嘘ついてたんだね」
「うちらのこと友だちと思ってないんでしょ」
「奈々子ってみんなのこと見下してるんだよ、可愛いし彼氏いるしHしてるからって」
「そういうのムカつくー。あたしだって、先輩のこと好きだったのに!」
「友だちの気持ち知っててよくHとかできるよね」
「だいたい中学生でHとか気持ち悪い」
「先輩だけじゃないって、他の人ともやってるよ絶対。ヤリマンなんだよ」
……陰口と噂が混在してひとり歩きし、たちまちあたしは女子のいじめのターゲットになった。
グループ課題で誰も組んでくれない。一人でお弁当を食べていると聞こえよがしに悪口を言われる。上ばきに虫の死骸が入っている。なくなった教科書がゴミ箱の中で破り捨てられている。ケータイに「死ね」「ヤリマン」「学校来てんじゃねーよ」ってメールが立て続けに送られてくる。
トイレに入れば上から水が降ってくる。びしょびしょになった制服を窓際で風に当てて一生懸命乾かしていると、通りすがりの男子から「おいヤリマン! 俺にもヤラせろよー」って笑われ背中から突き飛ばされる。
彼は庇ってくれた。
どんなにひどいことをされてもひどいことを言われても、彼だけは味方をすると誓ってくれた。
でも一時の気の迷いでなく、本気で愛されていることに嫉妬した女子たちによってさらにいじめは悪化した。
あたしがヤリマンだって噂が先生たちに知れ渡り、呼び出され問い詰められ「好きな人とHして何が悪いんですか!!」って逆上したら、親の呼び出しをくらい、帰りの車の中で父親に殴られた。
大人は誰も頼りにならなくて、学校でも家でも誰にも心を開けない日々。
今思えば、あたしの女嫌いはその時から始まったんだろう。
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