フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第13話>
<第13回目>
「好きでいたい気持ちはわかるよ。でも千幸が不幸なのを傍から見ているの……。わたしは嫌だよ」
最後のほうはいつもハキハキしゃべる彩菜には珍しく、もごもごと掠れてた。
わたしのことを真面目に考えて、はっきり言ってくれるのが嬉しくて……。でも、逆らいたかった。
たしかにわたしはまだ長谷部くんを好きだし、これからも好きでい続けたいと思っている。
このまま一生、長谷部くんだけを好きでいられたら、そしたらいつか奇跡が起こるかもしれないし、って。もう2年以上も温めている気持ちだ、それをこれからも大切にしていくことが、なんで悪いんだろう……?
口にはできず、しまい込んだ本音だった。
「彩菜ー、千幸ー! 今からドーナツ食べに行くから一緒に行こうよー」
朋子と沙紀が話しかけてくる。わたし、彩菜、朋子に沙紀。この4人は同じクラスで、学校でも放課後もいつも一緒のグループ。
朋子たちの登場にわたしも彩菜もさっきまで辛い話をしていたことを忘れたように、明るい顔で椅子からお尻を上げる。
仲良しグループではあるものの、親友じゃない。朋子も沙紀もいい子だけれど、長谷部くんを好きなことは話したくない。
彩菜は口にできないわたしの気持ちをちゃんと汲み取ってくれている。
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