フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第2話>
【連載小説】フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第2話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第1話~』
「こんばんはー。入って」
10年前からタイムスリップしてきたような笑顔があたしを迎える。
203号室のドアを開けるなり、まさかの思いが現実になって、玄関で立ち尽くしたまま動けない。
一見して、すぐに長谷部くんだってわかった。
さすがに10年の時間が肌の質感や輪郭を大人のものに変えてはいるけれど、涼しげな目もともシャープな鼻のラインもあの頃のまま。
長めのウルフカットだって、爽やかなテノールの声だって、高校の時と同じだ。
あれから10年経って27才になった長谷部くんが、同じく27才のわたしを東京で一人暮らししている自分の部屋に呼んだ――。
ものすごい確率の偶然に目まいがしそう。
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