ブーティー・ギャング・ストリッパーズ<第31話>
<第31回>
柊太郎がいても二人は気にせずに……いや、いたからだろうか、ソファの上で睦み合い始めた。
伊藤はサロンを口に含むと、甘えたように背筋を伸ばして柾の唇にみずからの唇を押しつけ、それを流し込んだ。
柾の喉仏が上がって、それを飲み下す。
柾は伊藤の顎を掴み、お返しとばかりに、今度は自分がサロンを口に入れて伊藤に与えた。
今度触れ合ったのは唇だけではない。琥珀色の美酒とともに、二人の舌が絡み合ったのが見えた。
「は……ぁ」
伊藤の口から微かに吐息が漏れる。伊藤が柾のシャツを胸のあたりを指先だけできゅっと握る。そうしてできた皺は、伊藤自身の心の乱れを表わしているようだった。
それでいて、この場の支配権を握っているのは伊藤なのだと、柊太郎には二人の視線やほんのちょっとした仕草から理解できる。
伊藤は年齢こそ柾や柊太郎よりずっと上だったが、清潔感や身につけているもののセンス、もともと顔だちが端正なことなどもあって、若い柾と絡んでも醜悪には見えない。むしろ柊太郎には、二人はお似合いに見えた。精悍な肉体をした凛々しい若い男と、したたるような色気をさらりと纏う妙齢の美しい男。
「柊太郎くんがびっくりしているみたいだけど……」
伊藤がちらりとこちらを窺って、柾に耳打ちする。
自分はやっぱり驚いた顔をしていたらしい。柊太郎は思わず頬に手を当てた。
「構いませんよ」
柾は耳打ちを返すと、柊太郎などそこにいないかのように伊藤のシャツのボタンを上から三つ立て続けにはずした。
隙間から指を入れる。乳首を撫でているのだとわかった。
フロア席が暗くなった。同時にVIP席の照明も数段落ちる。次のステージが始まるのだ。
「お前は他の奴らのダンスをしっかり見ていろ」
柾は指を止めずに柊太郎に指示する。
「は、はい……」
頷いたが、返事がちゃんと声になったかよくわからなかった。
ステージがぱっと明るくなり、てまりが出てきた。てまりはいつものように、アイドルの曲をバックに流して、アイドルが躍るようなダンスを披露した。このスタイルはすっかりてまりの持ち芸になっているが、キレは以前よりも数倍上がっている。
親友の舞台に、柊太郎は集中することができなかった。気づかれないように注意しつつ、柾と伊藤がしていることを盗み見てしまう。
柾は伊藤のシャツをすべて脱がせないまま、相変わらず乳首を弄っている。
さっきまでと変わったことといえば、動きが激しくなり、バリエーションに富んできたことだろうか。
指を強くこすりつけたり、摘まんでコリコリとしごいたり。伊藤は切なげに柾の腕にしがみつく。
「やめ……」
口ではそう言っているのに、手は柾の指をさらに奥に誘っている。
薄暗いのに、見えてしまう。
「あ……はぁ……っ……あっ」
伊藤の息が、声が、荒くなる。てまりのダンスの音楽のほうがずっと大きいのに、柊太郎の耳にははるかに大きく響いて聞こえる。
「伊藤さん、ここも……」
柾のもう片方の手がするすると伊藤の脇腹を下っていき、股間に行き着いた。
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