泡のように消えていく… 第一章〜Chii〜<第9話>
<第9話>
そしていよいよ研修のスタート。
ソープ経験者の人は講習なしで、お店の決まりやプレイの流れだけ説明した後、いきなり仕事に入ることもあるけれど、ソープどころか風俗がまるで初めてのわたしには2日間の研修が義務付けられた。
時間は店のオープン前の8;30~11;30の3時間。場所は店内にある個室のひとつ。
この個室がかなり変わっていて、お風呂とベッドがひとつの部屋に仕切りなしで収まっている。凹の形をした変な椅子(『すけべ椅子』っていうらしい)の隣には、ビーチマットが壁に立てかけてあって、この上で『マットプレイ』なるものをやるんだとか。
ベッドは触ってみると硬くて、とても安眠はできなさそうだけど、朝倉さんいわく、「そういうことをするのにはこれぐらいの硬さがちょうどいい」らしい。
部屋の隅っこにはスチームサウナと呼ばれる機械が置かれており、普段はまったく使われないものの、年に一度の保健所の検査が入る時、スチームサウナが正常に動作しないとお店が営業停止になることもあるという。そんなことを、先生の女の子が入ってくるまで朝倉さんが話していた。
「はじめまして、沙和です。覚えることがいっぱいだけど、頑張ろうね」
歳はたぶん、28か29ぐらい。肌が白桃みたいに真っ白でつるんとしてて、ほっぺたもワンピースの袖からはみ出した二の腕もめちゃくちゃやわらかそう。清楚な雰囲気も健康的な笑顔も、とてもこういうところで働く人には見えない。
こんなきれいな人が来るなんて思わないからびっくりしちゃって、返した挨拶がしどろもどろになる。
「よ、よろしくお願いします……あ、知依、です」
「知依ちゃんっていうんだ。緊張してる?」
「え、はい……かなり」
笑うとまるで女神様だ。
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