泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第5話>
<第5話>
「わたしは……。その、まだ、気持ちいいとか、良くないとか。そういうのわからなくて」
「うそー、毎日こんなに仕事してるのに?」
「毎日じゃないですよ。大学があるから、週に2〜3回です」
「そっかー。大学か、いいなぁ。行ってみたいなぁ」
「今からでも行けるじゃないですか。お金ならあるんだし」
「ムリムリ。こいつはここで稼いだ金、全部、男に貢いでんだから」
雨音さんが冷ややかに言って、知依ちゃんが目をぱちくりさせた。
「んもー、雨音さんってば。その言い方、ひどいっ。貢いでるんじゃないよー、好きな人を支えてるだけ!!」
「まったくバカにつける薬はないね」
雨音さんがやれやれと首を振って、トイレにでも行くのか待機室を出て行った。
貢いでるってどういうことですか、見開いたままの知依ちゃんの目が聞いていたけれど、苦笑いして肩をすくめるだけにしておいた。
「ほんと、困っちゃうよねぇー。雨音さんにも」
最近、颯太くんのことはやたらとお店の女の子に話さないようにしている。
悲しいことに、世の中のほとんどの人は、わたしと颯太くんの関係を理解しない。
知依ちゃんは真面目そうな子だから、きっと他の人たちのようにわたしが颯太くんに貢いでると思うだろう。貢ぐなんて、そんな安っぽいものじゃないのに。
わたしたちの間には、ちゃんと愛があるのに。
誰よりも強くて深くてきれいな、世界一の愛。
でも、みんなから理解されないのも、禁断の愛って感じで、なんかいい。ほどよい障害はさらに情熱を盛り上げてくれる。
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