泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第20話>
<第20話>
朝倉さんはこういうことに慣れているらしく、ベッドの上でぜいぜい言ってるわたしを素早く抱きかかえ、待機室に運んで「うららが過呼吸を起こした。俺の言うとおり介抱してくれ」と、唖然としているボーイさんや待機中の女の子たちに的確な指示を出した。
紙袋を口に当てられた状態で呼吸していると、やがて吸っても吸っても吸えなかった息がすんなり喉を通るようになる。呼吸ができないパニックが去ると恐ろしいフラッシュバックも止み、安心した途端体の力がぐったり抜けてしまった。わたしの過呼吸が止んだのを確認して、朝倉さんは店長としてお客さんに対応しなきゃいけないんだろう、いそいそと待機室を出て行く。
息ができるようになっても知依ちゃんとすみれさんは心配なのか、畳の上に両手両足を投げ出して寝そべっているわたしにぴったりくっついて、離れなかった。知依ちゃんは青い顔で手を握ってくれていて、すみれさんは額に浮いた汗の粒を拭いてくれたり、これ飲む? と、お水のペットボトルを持ってきてくれたり、実に甲斐甲斐しい。
すみれさんから受け取ったお水をごくごく飲むと、ようやく全身に力が戻ってきた。
「大丈夫ですか、うららさん」
そう言う知依ちゃんは目が潤んでる。本気で心配してくれてたんだと思うと、ちょっと申し訳ない。
「うん、もう全然大丈夫―」
「よかったぁ。うららさん、死んじゃうかと思ったー」
「ねぇ。この携帯、うららちゃんのじゃない?」
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