泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第23話>
<第23話>
「うららちゃんが彼を信じたい気持ちもわかる。でも、信じたいと信じてるとは全然違うでしょ? うららちゃんは彼のこと大好きなんだろうけれど、彼のほうはうららちゃんのこと、歩くATMぐらいにしか思ってないのよ」
知らないってば。知らないってば。うるさいよ、すみれさん。あなたの言うことなんて、聞こえてない。あぁもう、耳を塞ぎたい。
「いくらうららちゃんが彼のために尽くしたところで、まったく感謝なんかされないんだから……ねぇちょっと、真面目に話聞いて!!」
「何すんのよ!!」
すみれさんの手が携帯をひったくろうとするから慌てて奪い返した。はずみで爪先がすみれさんの手の甲に食いこんで、すみれさんが小さく悲鳴を上げ体を引く。でも怯んでいたのはほんの一瞬で、すぐに身を乗り出してくる。
「なんでわからないの!? どうしていつまでも現実逃避しようとするの!? わたしだって本当はこんなこと言いたくないの、でもうららちゃんのために言ってるの!!」
「やめなよ。そんなバカに何言ったってムダなんだから」
すみれさんの恩着せがましい言葉にも雨音さんのバカ扱いにもムカついた。2人とも、なんてひどいんだろう。どうしてそんなに意地悪なんだろう。
颯太くん、大丈夫だよ。わたしはこんな人たちの言うことなんて信じない。あなただけを信じている。誰よりも愛するあなただけを。
「もう、すみれさんも雨音さんも最悪スギ! 2人ともマジ、可哀想な人だね。人を疑うことしかしないなんて」
すみれさんはもう怒らなかったし、雨音さんもこれみよがしにため息をつかなかった。ただ、呆れた目でわたしを見ている。いいんだ、こんな人たちに呆れられたって。颯太くんさえいればわたしは幸せなんだから。
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