泡のように消えていく…第三章~Amane~<第27話>
<第27話>
店が定期的にキャンペーン価格を打ち出していることもあって、ローズガーデンは比較的3Pが多い。
女の子2人で90分や120分、1人の客の相手をする3Pは、協調性のなさを自覚しているあたしにはキツいところだ。
パートナーが沙和さんだったら、普段から研修で裸のお付き合いをしている仲だし安心。
とはいえ、怒られた直後じゃさすがに気まずい。
まともに視線を合わせられないままいそいそと支度をしていると、沙和さんのほうから近寄ってきた。さっきの厳しい顔はどこかに引っこんで、いつもの優しい沙和さんに戻っている。
「月イチで来ていつも3Pで入るお客さんで、わたしともう一人、毎回違う子を指名するんだけどね。どっちかっていうとMで、徹底的に責められたいって感じかな。雨音さんなら大丈夫だと思う。すごくイキやすいから思いっきりジラしてあげて」
ぱっぱと頭を切り替えて客の説明をする沙和さんを見て、さすがプロだな、と思った。
沙和さんの常連だというそのドMのおっさんは、濃厚なマットプレイを好んだ。
研修で何度も見ているはずだけど、沙和さんの動きはいつも通りなめらかで、芸術的といってもいいほど美しく、妖艶な表情につい、見入ってしまう。ともすれば沙和さんに気を取られそうな自分を叱り、プレイに集中した。
いろんな子を指名するのが好きな人で、自分のリピーターになる可能性は少ないからって、手を抜いちゃいけない。とても沙和さんにはかなわなくても、指名が少なくても、そういうところだけはプロになりたい。
終わった後、わたしにも沙和さんにも『ありがとう、すごい気持ち良かった!!』って子どもみたいな笑顔で握手をしてくれて、包み込む手の温かさに圧倒された。
ありがとう、気持ち良かった。
……言われ慣れている言葉だけど、こんなに本物の感情をこめて言ってくれた人が今までいただろうか。
やっぱり沙和さんはすごい。
人気記事
JESSIEの最新NEWSはFacebookページが便利です。JESSIEのFacebookページでは、最新記事やイベントのお知らせなど、JESSIEをもっと楽しめる情報を毎日配信しています。