フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第22話>
【連載小説】フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第22話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第21話~』
「桜介くんは悪くないよ」
過去に向けられた桜介くんの瞳に語りかける。
平野桜介くん。
フルネームを教えてもらってからは、そう呼ぶようにしていた。
名刺を渡して自分の名前は教えるのに、あたしの本名は聞いてくれない。
桜介くんなりの遠慮だと理解しているけれど、風俗嬢に対する線引きだと思うと心に隙間風が吹いたような気分になる。
「自分が一番なのは、自分が大好きなのは、誰だって一緒だよ。そんなの当たり前じゃん。ちっとも責められることじゃない」
「そうですかね」
「そうだよ」
互いの過去を見つめて暗くなった雰囲気をほぐすように、桜介くんが笑った。
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