泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第30話>
【連載小説】泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第30話>
※連載小説は毎日20時配信です。
<第29話より>
「産んでいい、よね?」
颯太くんが床に目を落とした。
実際には数秒のはずだったけれど、何時間にも感じられるような濃ゆい沈黙が心臓をこわばらせる。
颯太くんはまだ若い。ミュージシャンになる夢だって、結婚したり子どもを持ったりするなら諦めなきゃいけない。
常識的に考えたら、こんなタイミングで妊娠なんて大反対のはずだ。
そもそも、週5日ソープで働いて生挿入中出しが当たり前のわたし、お腹の子が颯太くんの子どもだって、証明できる手だてはない。
「もちろんだろ」
それでも颯太くんは、そう言ってくれた。
迷いを吹っ切るような勢いで思いきりわたしを抱きしめてくれて、そしてハッと体を引く。
「ごめん、強く抱きしめちゃまずいよな。大事な体なのに」
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