フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第14話>
<14回目>
「あ、あの。レナさんって、ナンバーワンなんですか」
しゃべると最初に必ず、あ、がつく。
緊張に興奮も加わって、上ずった声。
「まぁ、一応」
「さ、さすがナンバーワンですね……。その、こんなにきれいな人、出てくるなんて思わなかったです」
「たしかにいつもは予約でいっぱいのこと多いから、新規フリーで会えるのはラッキーかもしれませんね。それにしてもヒラノさん、ずいぶん元気いいですよ」
言いながら、グレープフルーツの果肉みたいな二つの珠を下から揉みあげると、華奢な全身が、熱線を当てられたようにぴくんと震え、細い喉から熱いため息が漏れた。
「全然……、してないから」
「うっそー。それなりに遊んでるくせに」
「遊んだことないですよ」
急に怒った声になるので、俯けてた顔を見上げると、ちょうどあたしの頭のてっぺんがヒラノさんの顎らへんにきていた。華奢だけど背の高い人だ。
「急にムキになるんですね」
「だって本当に、遊ぶとか……。そういうの、ないから。高校は理系クラスで大学も理系の大学で女の子いなくて。こういうとこ来るのだって、初めてですよ」
「へーぇ。でも、彼女はいたことあるんでしょう?」
「あ、はい、一応。同じバイト先の子と2年付き合ってたけど、就職してからいろいろすれ違いが多くて、ほとんど自然消滅みたいな感じになって」
「よくあるパターンですね」
「よくあるパターンなんですよね、ほんと」
思い出したのかため息を生み出しそうな細い喉に軽く口づけると、また全身がぴくんと跳ねた。
毛布も何も用意されてない、本当にただセックスをするためだけのベッドの上でプレイを始める。
どうやら女慣れしていないのは本当らしい。
何がしたいんだかよくわからない指の動き、舌の動き。
それでも、混ざり合った緊張と興奮に内側からほんのりピンクに染まった肌が、あたしを濡らす。
必死な感じのキスや、出し入れする不器用な指が、肉体的な満足を得られていないにも関わらず、たまらなく愛おしい。
セックスでこんな気持ちになるなんて最近ではプライベートでさえなかったことだった。
人気記事
JESSIEの最新NEWSはFacebookページが便利です。JESSIEのFacebookページでは、最新記事やイベントのお知らせなど、JESSIEをもっと楽しめる情報を毎日配信しています。