フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第17話>
<17回目>
その後、きっかり1週間にいっぺん、彼はあたしに会いに来た。
二度目は最初の時と同じレンタルルーム、三度目からはアップグレードして、カップル向けのプチゴージャスなラブホテル。ジャグジーもお風呂用のTVもサウナも、アダルトグッズの自販機もベッドサイドの電マも小さなボトルに入ったローションもついている、お姫様のベッドルームみたいな広くて可愛い部屋だ。
三度目に会った時に仕事のことを聞いたら、ちょっとびっくりするような名の知れた会社に勤めていることがわかった。
今年で三年目。いくら一部上場企業でもう新入社員ではないとはいえ、まだ24歳の若造できっとお給料なんてたかが知れてる。
こんなに頻繁に遊んで大丈夫なのかとちょっと心配になって言うと、俺ギャンブルしないし車も持ってないし全然金使わないんですよー、とにこやかに返された。
「レナさんって初体験いつなんですか?」
ベビーピンクのシーツの上で一度目を終えた後、冷蔵庫の上部に入っていたミックスナッツを二人でつまんでいる時に聞かれた。200円もするのに握りこぶし半分ぐらいしか入ってない。ラブホのものは呆れてしまうくらいなんでも高い。
「中一の夏休み」
「早っ!! 俺なんて21歳なのに。もしかしてレナさん、ヤンキーだったんですか?」
「みんなより早くそういうことを始めるからって、必ずしも荒れてたとは限らないよ」
「なるほど。でもレナさん可愛いですもんね、そりゃ早いか。相手は同じ学校の人?」
「えっとね、いっこ上の先輩だった。学校で一番恰好いい人で、ヤンキーだったの」
「やっぱヤンキーだったんじゃないですか」
「残念ながらあたしはヤンキーに染まらなかった。優等生でもないけど。ごく普通の子だったよ」
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