泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第18話>
<第19話>
「やば~い、超気持ちい~い」
ベッドの端に座ってもらい、床に跪いた姿勢で即尺。それにしても、男の人がベルトをほどかれズボンとパンツをずり下ろされ、上半身服着たままなのにあそこはむき出しになってる姿って、なんて情けないんだろう。接客の度に思うけれど。
「あー、気持ちいいよー。そんなにしたら、出ちゃうー」
「だめ。まだ出しちゃ」
ぱんぱんに膨らんだものが破裂する直前で唇を離すと、直前で快感をもぎ取られた田端さんは苦痛と快感が半々のため息をうぅ、と漏らした。
本当はここで一回、お風呂に入れた後さらにベッドでもう一回、計二回以上射精させることをローズガーデンでは基本としている、らしい。でも二回目になるとイキづらい人が多いので、わたしはなるべく射精を一回で済ませるようにしている。そもそも、フェラチオはじめ自分から責めるのがあんまり好きじゃない。疲れるし。
楽をしてる? ううん、そんなことはないはず。だってお客さんはそれで喜んでくれてるんだし、指名だってちゃんと取れてるし。結果オーライ、でしょ?
「んもぅ、意地悪だなーうららちゃんは」
「だってー。いっぱい我慢したほうが、気持ちいいでしょ?」
「そんなこと言うと、うららちゃんにも意地悪しちゃうよー?」
「えっ、やぁーん」
ポーズだけでまったく嫌がってない、ただムードを盛り上げるための「やん」に田端さんは案の定興奮して、床に跪いていたわたしを抱き抱え、いきなり唇を割って激しいディープキスを始める。田端さんの口は煙草とコーヒー、2種類の苦い味がした。
あぁ、この味。あの人の味とよく似ている。あの人もヘビースモーカーで、大のコーヒー党だったっけ。ファーストキスもたしか、ちょうどこんな感じじゃなかったかな。強引にわたしの中に侵入して、口を犯すような激しいディープキス。
キスといえば唇を合わせるだけのものだとその時まで信じていたから、泣きたいくらい気持ち悪かった。というか、泣いた。わたしの涙にあの人はますます興奮して、可愛い可愛いとさらに強く抱きしめてきた。
ぐるん。また、体の中身がひっくり返る。ぐるんぐるんぐるん。激しい回転が現在を吹き飛ばし、意識だけ10年前にタイムスリップしそうになる。
ぐるんぐるんの正体が悲鳴のような心臓の鼓動だと気づいた時、わたしは既に田端さんに奥までしっかりと貫かれていた。
「やばいよ~マジいいよ~。うららちゃんの中、なんでこんなに気持ちいいの~」
快感に顔じゅうとろけさせたおマヌケな顔で、夢中で腰を振っているのは田端さんだ。暗がりの中ぼんやり輪郭を浮かび上がらせているのはバスタブで、ここはローズガーデンの個室だ。
そしてわたしはうららという源氏名を持つ風俗嬢で、ハタチの大人で、この仕事それなりに長いんだからちゃんといやらしい声を上げ、広い背中に手を回して応じている。考える間もなく、体がすんなり動く。
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