泡のように消えていく…第三章~Amane~<第9話>
<第9話> 「全部自業自得なんだよ。自分の体の管理ひとつできない女が、ノースキンやるなよ、ソープやるなよ、風俗やるなよ。そういう甘っちょろい考えで働いてる女、あたし大っ嫌いなんだよね」 言い放って、たれ目がちの潤んだ目を思いっきり睨みつけた。 あたしの少し後に入店してきてからずっと、こいつに抱き続けていた怒りを、ストレートにぶつけていた。 あたしには傷というハンデがある。タトゥーだって「ナシ」な客は多いのに、いかにもワケありな生々しいやけど跡だ。ドン引きする客は少なくないし、面接の段階で入店を断られたことだって何度もある。2時間4万円バックの高級店じゃ、まず雇っちゃくれない。 ローズガーデンに入った時も、最初に朝倉さんから『雨音の場合、相当頑張らないと厳しいぞ』とクギを刺された。 はっきり言ってくれて嬉しかった。 言われた通りに相当頑張って技術を磨いて、どんなクソ客でもどうやったら満足してくれるか何をしたら喜んでもらえるか、常に考えまくって接客している。一回一回が真剣勝負だ。 それだけ頑張っても同じ店に1年半いる割に本指は少ないし、ランキングとは完全に無縁。身から出た錆とはいえ傷のハンデは大きく、あたしの足を引っ張っている醜い傷が恨めしい。 若さや容姿以外の何かがないと客を取れないあたしと違って、若さと容姿だけで客がついてしまう、うらら。だからあたしは、こいつが嫌いだ。 うららからはちっともプロ意識というものが感じられない。ただ彼氏のことしか頭になくて、仕事は遊びの延長線のようなもので、ひたすらあんあん言ってりゃいいと思ってる。 そんなんだからいくら本指を取っても朝倉さんに認めてもらえず、ナンバースリーになっても個室待機になれないんだけど、そのことにこいつはまったく気づかない。
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