フェイク・ラブ 第二章〜Nanako〜<第16話>
<16回目>
仕事上のセックスは仕事と割り切っている。
まったく濡れない日は、あらかじめ中にローションを仕込んでおくことも多い。
あたしはあくまで男の人たちにチヤホヤされ、お金をもらうことが好きなだけで、セックスそのものが好きなわけじゃない。
セックスが好きで好きでたまらなくて、誰とヤッても気持ち良くて、そんな淫乱な女が風俗で働いてるなんてのは、頭の中お花畑なアホ男のドリーム。
もしくは、大量のドラッグとか、尋常でないストレスとかに精神狂わせた女の場合だと思う。
るいさんみたいに、この仕事が嫌で嫌でどうしようもない子、そんな子の心が限界を超えて崩壊した時、まったく真逆の淫乱女に変貌することもあるんじゃないのかな。そんな風にも思う。
そういう考えのあたしでも、ヒラノさんには感じてた。
今まで経験してきたセックスの中で、一番、燃え盛ってた。
月並みな男のように、本当にスケベな女だなとか、下品な言葉を吐いたりしないヒラノさんの澄んだ心が、まっすぐな眼差しが、一生懸命な舌使いが、あたしを最高にいやらしくする。
臨界点を超えて、背筋をぷるぷるさせながら、快感をスパークさせた後、力を失っていく、くんなりしたあたしの体……。そこにヒラノさんが、自分自身を埋め込んだ。
ほどなく果てる。
そして、あたしの腰を、指の痕がつきそうなほど強く握ったまま、苦しそうに息を整えるヒラノさんの蜂蜜色の髪を、あたしは何度も自分の指に絡ませた。
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