フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第23話>
【連載小説】フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第23話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第22話~』
マンションの8階は静かで、外の喧騒に邪魔されることもない。
2人の話し声とシャープペンの音だけが、閉ざされた空間を満たしている。
いくら長谷部くんじゃなくたって付き合ってるんだし、家に二人きりだし、
それにさっきから2つの体は今までありえなかった距離に近づいていた。
被害妄想が膨らみかけていたから、江口くんの手が足に触れた時は内臓全部が一気にひっくり返ったかと思うほどびっくりした。
足というか、正確には膝こぞうの少し上らへん。
「ゴミついてるよ」
そう言ってスカートから出たらしい紺色の糸くずをつまんだ江口くんが、
淹れたての紅茶の湯気の向こうで呆気にとられている。
江口くんの体温に触れるなり、わたしが電流に触れたような勢いで飛びのいたから。
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