フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第37話>
【連載小説】フェイク・ラブ 第三章〜chiyuki〜<第37話>
※連載小説は毎日20時配信です。
『第36話~』
「ちょっと、よく顔見せて。俺の知ってる人かも?」
心臓が16ビートを刻みだした。
彩菜に朋子に沙紀、お父さんお母さんお姉ちゃん。あの町に捨ててきた人たちの顔が次々浮かぶ。
今、長谷部くんがあの町とどの程度の繋がりがあるかわからないけれど、
地元の人に一人知られてしまうってことは、あそこにいるすべての人にバレる可能性ができるってことだ。
「じゃあ、今日はどうもありがとうございました」
「ね、ひょっとして、かき……」
「失礼します」
二度目の失礼しますは必要以上にきついトーンで響いた。
ドアを閉める時、これでもう生涯見ることのない顔を無意識のうちに瞳に焼き付けていた。
やっぱりNGにしよう。仕方ない。
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