泡のように消えていく…第二章〜Urara〜<第39話>
<第39回>
わたしはあっという間にあの人に懐いたし、ママはあの人とわたしのそんな姿を、微笑ましいものを見る目で見ていた。まさに、夫と娘のふれ合いを見守る妻、って感じで。だから、ママには絶対に言えなかった。
あの人に犯されたなんて。
痛くて気持ち悪くて泣き叫んだら、あの人はますます興奮してぎゃあぎゃあ言ってるわたしの口を塞ぎながら、かちかちになったものをいっそう深いところに埋め込んだ。
2回目は腕を噛み切って抵抗した。そしたら殴られた。小学生相手に容赦のない殴り方だった。右から左から、平手で何度も。
『どうしてわかってくれないんだ。僕はこんなに君を愛してるのに。愛してるからこうするのに』
豹変するあの人が恐ろしくて、このままじゃ殺されると本気で思って、慌ててごめんなさいを繰り返した。それきりわたしはあの人に逆らわなかった。そのかわりあの人を好きになることにした。
『僕は君が大好きだから、こんなことをするんだよ』
嘘だってわかりきっている言葉を信じ込んで、自分に絶対に溶けない強力な魔法をかけた。わたしはあの人が好き。あの人もわたしを好き。
これは、愛してもらってるからされていること。だからちっとも嫌じゃない、気持ち悪くなんかない、気持ちいい。
本当のことが霞んでしまうほどしっかりと嘘を頭にすり込んで、やわらかい心を守った。この体験のせいで、わたしは能天気バカに成長したのかもしれない。
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